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中国株の動きにつながるかもしれない産業技術(テクノロジー)・動向の中で個人的に気になるニュース&世間で流行中の財テク(この言葉自体は死語ですな)&旅行中のテクテクを素材にします
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あっという間に1週間も経ってしまいましたが,「廃グリセリンを生分解性プラスチック原料の乳酸に転換する研究に成功」のエントリー記事の続編です.(^-^;;)

“生分解性プラスチック”が優れている点は,「プラスチックなのに微生物の働きによって分子レベルまで分解されて,最終的には二酸化炭素と水となって土に帰る」という,旧来のプラスチックになかった性質を持つからです.
(すべての“生分解性プラスチック”が植物由来のモノ,つまり“バイオプラスチック(植物樹脂)”の一領域ではなく,旧来からの石油由来のモノも存在することに注意してください.たぶんこの辺がゴチャゴチャになっている方がいらっしゃるのではないかと思いますので)

やがて土に帰るのであれば“ゴミを減らすことができる”という点で重宝するわけですが,特に植物由来の生分解性プラスチックはそれに加えて,最近盛り上がっている“地球温暖化問題”の中で,「大気中のCO2を吸収して育つ植物が原料なので,“カーボンニュートラル”な材料である」という点がクローズアップされてきました.

生分解性プラスチックの先駆けはイギリスの大手化学会社の旧ICIで,微生物から取り出したポリエステルを製品化しました.ただし微生物から作っているだけに,メチャメチャ高価だったようです.
現在の市場において性能面・流通量などから最もポピュラーと言える生分解性プラスチックは,デンプンを原料にしたバイオプラスチックの「ポリ乳酸(PLA)」です.

はい,ここで前回の「世の中で“グリセリン”から連続一貫生産によって,世の中で足りない“ポリ乳酸(PLA)”が出てくるとは,なんと素晴らしい!”というお話と繋がりましたね.
ホッと一息です.(^-^;;)


“世界最大の穀物メジャー”であるアメリカのカーギル(Cargill)が,トウモロコシを発酵させたデンプンを原料にしてポリ乳酸(PLA)を生産する商業ベースでの量産技術(ラクタイド法またはラクチド法)を最初に確立しました.PLAの生産・供給は現在のところカーギルの100%子会社であるネイチャーワークス(NatureWorks)が最大で,ここから日本の化学・繊維メーカーへも“原材料”としてのPLAが供給されています.ちなみにこの会社はアメリカの化学会社大手ダウ・ケミカル(Dow Chemical)の合弁会社,カーギル・ダウ・ポリマーズ(CDP)という名前で2000年に操業が始まったのですが,2005年にカーギルの100%子会社になりました.

日経産業新聞2007年8月21日に掲載された,“PLAの引き合いが強いのに足りない”の記事です.

:::::引用ここから::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 環境問題に対する意識の高まりを背景に,トウモロコシなどを原料にしたバイオプラスチック(植物樹脂)の「ポリ乳酸(PLA)」に対する注目が一段と高まっている.素材メーカーなどにとってはPLAを原料とした樹脂やフィルムなどの製品を売り出す商機だが,米企業からのPLA供給が追いつかず,各社の足元の生産量は生産量は注目度の割にはあまり伸びていないようだ.広がる商機と課題を前に,各社がやきもきしている.
( ~ 中略 ~ )
昨年度実績と今年度見通しのPLA製品の生産量は年間1000トン強とほぼ横ばい.PLAが確保できれば,来年度には3000~4000トンに引き上げたい考えだ.
 PLAを使った繊維や樹脂製品を手掛けてきた東レは今年2月,韓国で無延伸フィルムの本格生産を始めた.生産能力は年間5000トン.早ければ08年のフル稼働を視野に入れるが,実現には用途開発と調達拡大が課題と見られる.
( ~ 中略 ~ )
 素材各社はPLAが注目されている間に関連製品の売り上げを伸ばしたいが,原料供給が追いつかないというジレンマを抱えているようだ.「あるメーカーから生産ロットの大きい製品で大量採用したいという話があったが,供給めどが立たずに実現できなかったこともある」.化学大手の樹脂部門担当者は打ち明ける.
 米ネイチャーワークスによると,現在,ネブラスカ州の工場の強化を計画中.今年後半から来年初めにかけてと,来年から09年にかけて段階的に工程改善や設備改良を実施.09年初めには年間14万トン規模になると見られる.

:::::引用ここまで::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

このネイチャーワークスから日本のメーカーに供給されたポリ乳酸を原料として,例えば

・ユニチカ:テラマック
・東レ:エコディア
・三井化学:レイシア

というブランド名を付けて,各社が繊維・フィルム・その他の樹脂製品へ事業展開しています.

ネイチャーワークスの出発原料はトウモロコシなので,これまた現在大流行中の「バイオエタノール」と需要が重なって原料高騰になるのでしょう.
環境面で優れているPLAが今後普及するためには,性能面と価格の両方がクリアされなければなりませんが,性能面はかなり研究が進んでいて,旧来のプラスチックに置き換わるべく強度や耐熱性などは向上してきています.

しかしPLAに限らず,生分解性プラスチックの価格はやはりまだまだ高いです.ですから大量生産できればコストの引き下げ余地が大きく出てくるのですが,原料(トウモロコシ・デンプン)が高価だと中間体(乳酸)や製品(PLA供給)の価格を下げることは難しいですよね.価格が下がらなければ,既存のプラスチックを代替して世の中に広まっていきませんのでねえ...
そういうことで,前回記事にした大型乳酸製造装置の開発に期待しているというわけです.
あの装置が計画通りの性能を安定して発揮すれば,地球温暖化対策として,CO2の発生が少ないディーゼルエンジンが普及していく中で,

バイオマスからバイオディーゼル燃料(BDF)を量産→副生成物のグリセリンから乳酸を安定生産→工業製品としてのPLAを量産→使用済みPLAは土に返してバイオマスへ

という,環境的になかなかよさそうなサイクルも目指すことができることになります.
楽しみですね.なお,世界中での全面的な「電気自動車・水素自動車・燃料電池自動車」の実現は,現実的にはまだまだ相当難しいと私は思いますねえ.50年後くらいの遠い将来はともかく,四半世紀のレベルで考えると,現実的には一旦,コスト面・性能面からハイブリッド車が最も早く,最も広く普及するのではないでしょうか.

以上,廃グリセリンからBDFとPLAが連続一貫生産で出来そうだという技術は,技術自体もちろん楽しみなのですが,聞くところによると,私の保有銘柄である中国林大(0910.HK)の事業領域・企業規模の拡大にも関連がありそうで,それがまた大きな楽しみです.

中国林大が植えている,樹木以外の植物(カテキンさんの掲示板がまだ閉鎖される前に載っていた書き込みによると,そうらはどうやらアブラギリらしい)から,菜種やコーンと同様に,油脂が取れるそうなんですよ(本当にアブラギリなら油はちゃんと採れます).

中国林大って,木材関連でのビジネスってどうやって展開・拡大するのか,私は自分の保有銘柄ながら,いまひとつピンとこなかったのですよ.
広大な土地で植林事業もいいのかもしれませんが,住宅用にしろパルプ用にしろ,それを木材として切り出すだけなら“バラ色の未来を持つ会社”とも言えないのでは?環境関連と言ったって,「いくら植林と言ったってそれなりに時間は掛かるわけだし,“切ったらしまい”じゃねえの?そんなに業績が将来にわたって拡大できるの?」ってことです.

だから個人的には保有銘柄の中小型株の中で“期待度中”だったのですが,2回に分けてアップした内容で,「おっ!スゲー面白いことになるかも!」と思い,つい最近“期待度大”にレベルアップしました.我ながら単純でお恥ずかしいですけど.

はい,ここでようやく中国株の話と繋がって一件落着です.(^-^;;)

なお,現在のように食物(トウモロコシなど)を原料とするバイオエタノールは,やっぱり広く普及できないでしょう.燃料を作るために主に飼料だとはいえ食べ物を使い,その飼料を与えるべき鶏に「ミネラルも入っているのよ」といってM&M'Sの粒チョコレートを与えるなんて,どう考えてもヘンですよ.(実際にそのような事態が一部であったようです)
木質セルロースも,そんなに単純ではありません.
もっと別な,面白い技術があるのですが,それはまた改めて.


○オマケその1
生分解性プラスチックは,一般には誤った認識を持たれている点があります.
その最たるモノは“100%完全に分解して土に帰らないないモノも“生分解性プラスチック”のカテゴリーに入る”という点でしょう.
実のところ,現況では各国で“生分解性プラスチック”の定義がバラバラなのです.ですから規格の一部と言うべき“生分解性”も副次的にこのような事態になっているのだと思います.
例えば日本での生分解性プラスチックの定義は,「6ヶ月で60%以上分解していること」と決められていますが,アメリカやドイツ(欧州全体とは別にドイツ独自で設定)では「1年で60%以上分解していること」となっていますし,欧州では「6ヶ月で90%以上分解していること」とされています.
ちょっと意外でしょ?(^-^;;)

○オマケその2
世界第2位の化学会社大手デュポン(DuPont)も生分解性プラスチックを作っていて,バイオマックス(Biomax)というブランドで世界の化学・繊維メーカーに供給しているのですが,こちらの出発原料は植物ではなくて石油です.
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 博学hwasaengさん
hwasaengさん、こんにちは。

生分解性プラスチックって、面白いんですね!
そう言えば、ゴルフのティーにもとうもろこしを使用したものが
ありました。少し割高でしたが、あれがポリ乳酸だったのでしょう。

バイオエタノールは、予備的な手段としては良いとおもいますが。。。
ハッチー 2007/09/15 07:56 *edit
Re:旅芸人のhwasaengです.
ハッチーさん,こんにちは.

>生分解性プラスチックって、面白いんですね!
>そう言えば、ゴルフのティーにもとうもろこしを使用したものが
>ありました。少し割高でしたが、あれがポリ乳酸だったのでしょう。

ゴルフやらないのでわからないんですけど,そうかもしれませんね.
身近なところだと,ボールペン(の筒)なんかもありますね.


>バイオエタノールは、予備的な手段としては良いとおもいますが。。。

カーボンニュートラルの発想からの利用は否定しませんけど,いかんせん,食料を出発原料とする割合が大部分を占めているウチは,ダメでしょう.
そうではない技術の芽が出ているので,そのうちまた改めて記事にしたいと思います.
それと,バイオエタノールは発酵を経由するのですが,そこでちょっとハードルがありますかねえ.
hwasaeng 2007/09/18 01:10
 お祝いどうもありがとうございました。
hwasaengさん、こんばんは。

88,888達成のお祝いどうもありがとうございました。

昨日、今日と香港市場は好調だったのですが、小型株の勢いは戻りましたか?
今日は内心のところ、日経平均のように利食いで下がるかと思いましたが、日経平均と同様にそうではありませんでしたね。

そのなかで昨日、下落した九州発展がごくわずかながら戻りました。万科企業の下落は小さすぎました。
昨日から万科企業の指値をしてますが、連敗でした。(苦笑)
馬 明  URL 2007/09/20 19:47 *edit
Re:馬明さいんも資産大膨張中ですね
どうもこんにちは.

大型株連続爆騰げ中ですから,馬明さんにはもってこいの相場ですね.
中小型株はダダスベリです...(-_-;;)
hwasaeng 2007/09/26 06:50
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