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中国株の動きにつながるかもしれない産業技術(テクノロジー)・動向の中で個人的に気になるニュース&世間で流行中の財テク(この言葉自体は死語ですな)&旅行中のテクテクを素材にします
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明けまし...(ry

世の“派遣切り祭り”とは無関係にこのところ仕事がスゲー忙しいので,このブログも放置状態にいっそう拍車が掛かっておりまして恐縮です.(-_-;;)

さて.
インドIT業界をご存じの方もいらっしゃると思いますが,ビッグ3はインフォシス(Infosys), タタ・コンサルタンシー・サービシズ(Tata Consultancy Services:TCS),ウィプロ(Wipro Technologies)です.

今年最初のネタは,そのビッグ3の次,第4位のサティヤム(Satyam Computer Services)の話を少し.

サティヤムは1987年創業で,従業員は5万人以上いるインドIT業界の大企業ですが,先週の7日,そのサティヤムの創業者でもあるラマリンガ・ラジュ(B. Ramalinga Raju)会長が「私,実は数年前からサティヤムの粉飾決済をしておりますた」と告白しました.

http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20386207,00.htm


サティヤムが開示した,取締役会にあてたラジュ会長からの書簡によると,サティヤムの2008年9月30日での四半期の貸借対照表において,
・現金預金を504億ルピー(10億400万ドル)水増ししている
・未払利息の37億6000万ルピーが実在しない
・Raju氏自身で調達した資金による負債の123億ルピーが過少報告されている
・債務ポジション49億ルピーが過大報告されている
・同四半期,実際の売上高211億ルピーに対して270億ルピーであると水増し報告していた

ことが先述のリンク先にも記載されてますが,金額のイメージを考えるためにサティヤムの2003年3月期から2008年3月期までの6年間の連結業績を見ると,2003年3月での売上高は約5億ドルに対して2008年3月には20億ドルと4倍以上に拡大し,またその間に上げていた営業利益は合計で13億ドル前後に達している・・・ことになっていました.
つまり,今回の粉飾内容は規模からしても相当悪質なレベルだと言えそうです.

これらの粉飾規模が多額に及んだのは,ラジュ会長からの書簡によると

“最初はわずかであった実際の営業利益と会計報告書の数字の差が、数年経つうちにどんどん拡大してしまった。Satyamの事業規模が飛躍的に成長するにつれ、その差が管理不可能になっていった。より高水準の業績の利益を上げていることを示すためにさらなるリソースと資産を抱えなければならなくなり、そのためにコストが著しく増大し、実際の利益と報告書の数字の差は一層大きくなってしまった。”

とリンク先に記されていますが,そもそもなぜ不正会計を行ったのか?粉飾をここまで続けたることになった理由はなにか?ということになりますが,それについては,どうやらサティヤムに対するラジュ会長ら創業者一族の出資比率の小ささが一因のようです.

昨年9月末時点でのラジュ会長一族のサティヤムへの出資比率は8.3%に過ぎませんので,この出資比率では業績が悪化すると買収される心配が出てきます.
新興企業の創業者としては,
①買収されないように高成長を続けている姿が必要となる→②成長度合いの実態が計画に伴わなくなると粉飾でつじつまを合わせざるを得なくなる→③買収されると粉飾が明らかになる恐れがあるので,買収されないような成長が必要となる→④さらに粉飾額が大きくなる
というサイクルに入ったようです.

とはいえ,粉飾額が大きく膨れあがってラジュ会長もやはり焦ったようで,去年12月16日に起死回生の大技というか禁じ手というか,「キャン×キャン」のネタにあるマスオさん的に「ええええっっっ!」と驚く計画を発表して事態を一気に乗り切ろうとしたのですが,機関投資家などから一斉に反発を受けてこれが翌日には見事に吹っ飛びました.(^-^;;)

その計画というのは,ラジュ会長のファミリー企業(息子が経営陣に入っている)の
・メイタスインフラ(道路や鉄道などの開発会社)の株式51%を約3億ドルで既存株主から
取得する
・メイタスプロパティーズ(住宅開発会社)の全株式を約13億ドルで既存株主から取得する
ことで2社を買収するというものでした.

メイタスインフラは上場企業,メイタスプロパティーズは非上場企業ですが,いずれの社名にも“メイタス(maytas)”が入っていて,これはサティヤム(satyam)を逆さまにした名前ですので,「もしやサティヤムをラジュ会長が私物化しようとしているのでは?」という疑念が機関投資家やアナリストの間で大きくなり,一斉に反発しました.

それで投資家からの反発は具体的に,買収計画発表の日のADRで50%以上の下げという形で表されました.
その結果,この買収計画は一夜にして撤回されたのですが,そのニュースを知って「なんか強引なことするなあ」と思っていた私も,この計画はラジュ会長の書簡に“実際の資産と架空の資産との差を埋める最後の試み”と記されていたと知って,「なるほどねえ」と納得したわけでございます.

今回のサティヤムで起きた粉飾事件って,中国でもじゅうぶん起こりえますよねえ.(^-^;;)

ちなみに今日のSENSEX指数が他のアジア市場と同様に大きく下げているのに対して,サティヤムの株価は政府が信頼感回復に向けた措置を取ったことから,スゲー急回復しているようです.

http://jp.reuters.com/article/stocksNews/idJPnTK834760720090112
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